現経営者の高齢化及び後継者難により、事業承継の選択の1つとして自社株式を外部に売却(いわゆるM&A)するケースが非常に多くなってきております。
M&Aの場合、やはり一番気になるのは売買価額、すなわち『いくらで売れるのか?』だと思います。
もちろん少しでも高値で売却できればハッピーです。
ここで、相続税に関する財産評価基本通達において、相続税額を算出するための評価方法が定められていますが、一般的に評価額が低めになります(高値で売却したいと考えられている経営者様にとっては適切な方法ではない場合があります)。
M&Aの世界では、様々な評価方法があり、また評価方法について、こうしなればいけないという法律や売却価額の決め方はこれしかダメと決まっているわけではありません。双方の納得のいく価額を決めればいいのです。
では、売却価額はどうやって決まるのでしょうか?
売却価額の算出方法は様々で(代表的な算出方法でも5種類あります)、双方の納得がいかなければ裁判に持ち込まれるケースが多い状況ですが、一般的に資産・負債の簿価に含み損益を加味した金額に一定のプレミアム(いわゆる「のれん代」です)を付与した金額で決定されるケースが多いです。
つまり、現状の決算書の金額だけでは、これから将来に渡って獲得される利益分や事業の成長性が反映されていませんので、これをプレミアムとして上乗せするのです。
また、このプレミアムの算定ですが、将来の事業計画をもとに算出するケースもありますが、将来の事業計画を過大に見積もっていると買い手が判断してしまうとなかなか売買価額の決着がつきません。
従いまして、過去数年の営業利益の平均(臨時偶発的に発生した項目は除いた金額)の3~5年分を上乗せし、それを現在価値に割り戻して計算する方法(ただし、マイナス金利の下では割り戻すこと自体ひとつの論点になってしまいますが…)が一般的で、双方の理解が得られやすいようです。